(参考)剥離不良の不具合事例
剥離不良の不具合事例
~事例1.樹脂同士の剥離不良原因の究明~
§ 背景 §
- フィルム樹脂と基材樹脂が剥離する不良が発生
- フィルム樹脂を基材樹脂に加熱接触、その後冷却させて接着させる
§ 優先順位をつけた仮説 §
- 部材(フィルム樹脂、基材樹脂)同士がミキシングメルト*していない
- 部材の表面汚染
- 部材のロットの変化:融点、表面凹凸 etc
*:拡散接着。2種類以上の樹脂が溶融し、各分子が絡み合った状態となること。高強度。
§ 評価/解析 §
-
部材A,Bの融点:いずれも熱圧着温度以上の融点
-
ミキシングメルト層:形成し難い
⇒ 部材表面状態の影響大 -
部材表面:多量の有機シリコーン検出
-
部材のロットばらつきは問題無し
※赤字部が原因
§ 対策 §
・シリコーンフリープロセス、ミキシングメルト層を形成する樹脂の選択
~事例2.フィルムの金属からの剥離不良~
§ 背景 §
- フィールドで金属界面からフィルムが剥離する不良が発生
- 金属とフィルムはエポキシ系の熱硬化接着剤で接着
- 金属は2社(A,B)から購入し、A社のものに不良が多い
§ 優先順位をつけた仮説 §
- A,B両社で金属表面の凹凸に違いがある
- 金属表面の汚染
- 接着剤の劣化およびロットばらつき
§ 評価/解析 §
- A社製金属の方が表面凹凸が小さい:強度小
- A社の金属表面に有機シリコーン検出
- 接着剤には問題無し
§ 対策 §
・B社製金属のみの採用
・有機シリコーン混入プロセスを特定し他プロセスへ変更
~事例3.金属同士の剥離不良~
§ 背景 §
- フィールドで金属/金属界面が剥離する不良が発生
- 金属同士の接着は外注
- 接着剤はエポキシ系熱硬化タイプ
§ 優先順位をつけた仮説 §
- 金属の表面汚染
- 接着剤の硬化不足
- 接着剤の劣化およびロットばらつき
§ 評価/解析 §
- 少量の有機シリコーンが検出されたが不良品/良品とも同量
- 不良品は接着剤が硬化不足
・外注先での接着剤硬化プロセスにおいて接着剤自体の昇温速度が異なる場合有 - 接着剤自体には問題無し
§ 対策 §
硬化時の昇温速度を一定とした
・炉に入れる製品数を一定
・炉の中に製品を置く位置も一定
~事例4.Al/セラミックの剥離不良~
§ 背景 §
- フィールドでAl/セラミック界面が剥離する不良が発生
- 接着は外注
- 接着剤は2液エポキシ系熱硬化タイプ
§ 優先順位をつけた仮説 §
- 被着体の表面汚染
- 2液混合後の硬化進行による強度低下
- 接着剤層の厚みが薄い
§ 評価/解析 §
- 少量の有機シリコーンが検出されたが不良品/良品とも同量
- 2液混合後の時間管理が曖昧:強度が劣化する2液混合後の時間でも生産を行っていた
- 不良品の接着剤層が薄い(50μm以下)
高強度を確保するためには100μm以上必要であることを検証実験で明確化
§ 対策 §
下記を外注メーカに徹底していただいた
・2液混合後に使用する時間範囲:2液混合後に強度低下しない時間を明確化
・要求強度維持が可能となる厚みを明確し、スペーサにより接着剤厚みを確保